それではいよいよ、イラっとしたところから自分の傷をほりさげ、癒して行くステップをお伝えしましょう。
①自分がイラっとした時、頭の中でぐるぐるしているセリフに気づく
自分がイラっとした時、まず感じるのは相手が悪い、という感覚です。この段階で頭の中で回っているのは、「どうして〜してくれないの?」と言うセリフでしょう。このセリフに気づいたらその次に自分がなんと思っているか、自分のセリフに注意してみます。
一般的なセリフは
「ぜんぜんわかってない!」
「バカにしている!」
「大切にされてない!」「尊重されてない!」
「否定してる!」「避難している!」
などでしょう。他にも、浮かんできたセリフに間違いというものありません。自分の頭の中でぐるぐるしているセリフをとにかくキャッチしてください。
これらのセリフは自分の心の傷へと繋がる重要なキーワードです。
このセリフをキャッチすれば、問題は半分解けたようなものです。
②そのセリフと繋がる過去の悲しい出来事を思い出す
このセリフが出てくるということは、過去にそのように思った悲しい出来事があったということです。
「全然わかってない!」と口からついて出たとすれば、過去に理解してもらえなかった傷みを抱えています。また、「尊重されてない!」というセリフだったら、過去に尊重されなかった傷みがあるというわけです。
ですので、このセリフをきっかけに、過去にどんな出来事があったか思い出してみましょう。
例えば、頭の中でぐるぐるしているセリフが「理解してもらえてない」だったとしましょう。そうしたら、過去に「理解してもらえなかった」と思える出来事を探していきます。それは、妹がちょっかいを出してきて姉妹喧嘩をした時、「お姉ちゃんでしょ。」と一方的に怒られた、とかあるいは、泣きたい時や怒りたい時に、「どうして泣くの!」「このくらいで怒らないの!」といさめられる、といった様な事があげられます。
また怒られたことだけではなくて、クリスマスプレゼントに熊の可愛いぬいぐるみが欲しいといったのに、お父さんが全然可愛くない犬のぬいぐるみを買ってきた、などのケースもあるでしょう。
こんな感じで自分の気持ちを全く理解してもらっていない、と感じたどんな些細な出来事でもいいので、こんなことあったかな〜とちょっと記憶をさかのぼってみましょう。
③当時の自分がどのように傷ついたかみる
過去の出来事を思い出したら、次にその時自分がどんな風に傷ついたかをみていきましょう。傷つく、というとピンと来ないかもしれません。そこでその出来事の時に自分が何を感じていたのかを思い出していきます。
お母さんに一方的に怒られた時、何を感じていましたか?悲しかったのか、戸惑ったのか、あるいは怒りがわいたのでしょうか。
お姉ちゃんの方が可愛い、と言われた時、どう感じましたか?悲しくなったのか、ひどいと思って腹が立ったのか、あるいは、誰も自分をみてくれないと孤独になったのでしょうか。
同じような出来事でも感じることは人によって様々です。そして同時に複数の感情を感じることもあります。怒りと悲しみ、絶望と孤独、恨みと悲しみ・・・。その組み合わせも、十人十色でしょう。
その時の場面に戻って、当時の自分の心がどんな感情を感じていたのか、感じてみます。静かなところで瞑想するのもいいですし、紙を用意して書くのもいいでしょう。私がよくやるのは、当時の自分の絵を描いて、吹き出しを作ってセリフを言わせてあげるやり方です。どんなセリフを言いたかったか、思い出しながら描いていきます。
過去を振り返ってネガティブな感情を感じるなら、その時心が傷ついたということです。その傷をみていく時、「これは本当にあった出来事かな?」とか「こんな些細なことで傷ついたと言ってはいけない」などの疑いや抵抗が出ることがあります。
ここでのポイントは、出来事が事実かどうかは考えなくていい、ということです。例えば「尊重されてない!」と言うセリフが出てきたが、それは自分の勘違いだったかもしれない、そんな事実はなかったかもしれない、と思おうとする必要はありません。
正確な事実がどうだったかはひとまず置いておきます。
事実がどうかより、自分がそう感じて傷ついた、という事をキャッチする方が大切です。
なぜなら、その傷があるから、今現在、夫との関係がうまくいかないのです。
過去の傷を探す目的は、当時関わった人への恨みを思い出し仕返しをするためではありません。当時自分が傷ついたことで、今の夫との関係がどうずれてしまっているのかを見つけることです。つい夫が悪いと思ってしまうのが、自分の過去に原因があった場合、その怒りを夫に向けても関係は悪くなるばかりだからです。最終的には、その傷を癒すことで夫とのコミュニケーションがよくなることを目指しています。
④傷ついた自分に寄り添い、抱きしめる
傷がはっきりしてきたところで、次にどうするのか、いよいよ癒しの本丸にはいっていきましょう。癒しに必要なのは、十分な理解といたわりです。私たちは傷ついた心を抱えている時、相手が十分にその状態を理解していたわってくれると、心が穏やかになって平穏になります。自分がどの様に傷ついていてどの様に苦しんでいるのか、それをわかってもらうと癒されるのです。
ここでは、その理解する役も自分でやっていきます。当時の自分を思い出しながら、今の自分がイメージの中で、傷ついた自分に対する十分な理解といたわりをあげるのです。
辛かった自分をもう一人の自分が外から眺めます。そして傷ついている自分に対して、思いやりを持って接します。当時の自分が言いたかったことを全部聞いてあげてください。そして、「辛かったんだね。」と優しく声をかけながらそっと抱きしめてあげます。傷ついて小さくなっていた腕の中の自分が、安心してリラックスするまで温めてあげましょう。
この方法は、自分のイメージの中で行う癒しで、今の自分が過去の自分に寄り添う方法です。今の自分が過去の自分の痛みを十分に理解して、心からのいたわりと温もりを送ってあげると、過去の自分が本当に緩んで癒されていくのがわかるでしょう。キュッとなっていた心がポカポカと暖かくなってくるはずです。
別の言い方をすると、過去に傷ついた自分のことが好きになれればいいのです。私たちは大抵の場合、傷ついている自分は嫌いです。泣いたり怒ったりしていて面倒くさいし、惨めな感じがしてみたくないのが普通なのです。だから心の奥に押し込めておくのです。でもその自分を眺めて、「そういう自分もありか。」「結構頑張っていたね。」「一人でよく耐えたね。」などと愛おしく思えたら、それは癒された証拠です。
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