どうしてわかってくれないの?
私は夫と喧嘩をすると、大抵このセリフが出てきます。
そもそも喧嘩の始まりは意見のすれ違い。
「服を床に脱ぎ散らかさないでって何回言ったらわかるの?」と私がイライラする。
夫が「なんで床に物を置いちゃいけないんだよ?床は物を置くところだろ?!」と反論する。
私が「だって片付けるの私なんだよ!私はあなたの小間使いじゃないの!!」
夫が「誰が片付けてくれって言ったんだよ?!置いとけばいいじゃないか!」とくる。
そうすると私は「私は片付いた部屋が好きなの!床に物が散らばってるとイライラするの!!それに誰かがやらなくちゃ汚い部屋になるじゃない!!」と返す。
夫が「そんなの君の勝手だろ?!別に散らかってたって俺はいいんだよ!なんで俺に君のやり方を押し付けるんだよ!」と反論する・・・・。
ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う・・・・不毛な戦いですね(笑)
口論になるとこうやってどんどん二人の心が離れていきます。
そうして私の中でムクムクと、「どうしてわかってくれないの?」という気持ちが頭をもたげてくるのです。
「どうしてわかってくれないの!!」という怒り。
その怒りはそう簡単には消えることなく、しばらく悶々とし続けることになります。
自分の言いたいことが伝わらない時、往々にして感じる「どうしてわかってくれないの!」という怒りともどかしさ。
でも、ある時夫との口論のあとで「じゃあ私がわかってほしかったことはなんだろう?」
と考えてみました。
☆
もし私が「床に服を散らかさないでと何回いったらわかるの?」と言った時、夫が「はい、片付ければいいんでしょ。」と言ったとして、私の気持ちがおさまったかといえば多分そうでもありません。
「そうじゃなくて!」と言いたくなったでしょう。
それでは何を言いたかったのでしょうか。もう少しよく感じてみました。
そうすると、結局私が言いたかったことは「いつも私が片付けている(あなたは知らないだろうけれど)。」ということだったのです。
もちろん、夫が自ら服を片付けてくれるようになることは嬉しいこと。
でも一番言いたかったことは「私の犠牲感がたまってイライラしているの!」ということだったのですね。
そしてさらに掘り下げれば「私のことを尊重してほしい。」という思いも上がってきました。
何回も言っていることを聞き届けてもらえないのは、「尊重されていない」という不満と繋がっていたのです。
心の中って何層にもなっていて複雑ですよね。
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自分の本当に言いたいことを自分すら気づいていなかったことを知る
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対話のすれ違いは、このように自分の本当に言いたいことがそもそも言えていないことに始まります。
自分自身すら、自分の本当に言いたいことをキャッチしないままコミュニケーションを始め、「自分はわかってもらえない。」という被害者の位置に入ってしまうのです。
そして自分では話し合いのつもりでも、そのスタートが最初から被害者のポジションで始めてしまうことも少なくありません。
私のこのケースでは、夫は私を理解せず尊重しない悪者、というところからスタートしているわけです。
そんな風にスタートしたコミュニケーションが、お互いを理解しあえる終着点にたどり着けるわけがありません。
夫の立場からみれば、「いきなり理不尽に悪者にさせられた。」と感じ、どんどん耳が塞がっていくのも当然でしょう。
ではどうしたらいいのでしょう。
自分のイライラを出さないほうがいいのでしょうか?
いいえ、それも違います。感じていることを何年も出さないということはそもそも無理です。
あえて出す必要はありませんが、感情を出さないためにエネルギーを注ぐとかえって苦しくなるだけです。
そして苦しくなった分、「自分が我慢しているんだ。」という被害者のエネルギーが強くなっていくだけです。
イライラが出てしまった後でいいので、自分がなぜそんなにイライラしたのか、自分が大切にしたかったことはなんだったのか、掘り下げてみることが大事です。
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被害者のポジションにいっていることに気づく
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コミュニケーションのすれ違いでお互いが遠くなっていく時に大切なことは、自分が被害者のポジションで話している、ということに気づくことです。
被害者のポジションにいるということは相手を悪者にしているということ。
逆の立場だったら、自分を悪者として扱う人の話を聞きたいとは思わないですよね?
うまくいっていない対話では、自分ではわかりあおうと一生懸命に話しているつもりでも、実は自分の嫌だった気持ちをわかってもらおうと一生懸命なことが殆どでした。
だから相手と繋がりたいなら、被害者のポジションに入らないこと、入ってしまったら途中からでも出ること、それが大切です。
さて、今日は「わかってもらえない!」という現実がどのようにして出来上がっていくのか書いてみました。
まとめると、
1、自分すら自分のことをわかっていない
2、被害者のポジションから話し合いを始めたらわかってもらうのは難しい
ということです。
なので相手に自分のことをわかってもらいたかったら、まず自分を知ることです。
本当にわかってほしいことはなんだったのか、「わかってもらえない。」と感じる時ほど、そこに戻ることが大事です。
そしてその本当にわかってほしいことを、相手を攻める形でなく伝えることができたら、始めてお互いの理解を目指す対等な対話が始まるのです。