さて、前回、癒しの過程の途中で、過去の傷ついた出来事を思い出す、というのがありました(詳しくはこちら)。今日はその時に激しい感情が出てきた時、どう対処したら良いのかについてお伝えしましょう。
傷ついた時の感情を感じられると、実際に心臓がズキズキ傷み、呼吸が浅くなって、肩や背中もきゅうっと硬くなって、全身が寒くなっていく感覚が出ることがとあります。深い悲しみを思い出すと、涙や咳が出る場合もあります。恐怖の感情がでる人は、呼吸困難や手足の痺れ、胃の痛みがなど出るかもしれないですし、強い怒りで頭が痛くなることもあるでしょう。感情は実際に体に影響しているので、思いもしない反応がでることもあるでしょう。
感情を感じてこの様な反応がでると、一旦体がしんどくなることがあります。それが怖くて感情が出ない様に抑えている人もいるでしょう。でも体がしんどくなるのはおかしいことではない、とお伝えしておきましょう。心と体はつながっているからです。
そのような状態になった時、もし少し余裕があるなら、その反応を止めないで様子をみてください。押さえつけていた感情のエネルギーが、出口を見つけて出ようとしているのです。なので感情が出て体が苦しくなったら、それを止めようとせずに、その自分をそのままにしてあげてください。そうすると、自分が本当はとても苦しかった、つらかったこともわかってきます。それほどのエネルギーをためていたんだ、ということなのです。
そして、そのままにしてあげる方が、無理に止めようとした時よりもスーッと反応がおさまっていくこともあります。抑えようとするとより反応が強くなりやすくなります。おさえずにそのままでいることを許してあげ、優しく呼吸をしていると、少し待てば自然に消えていきます。
そして体に反応が出た分、あとで疲労感を感じるはずです。ですので反応がおさまったら、十分に休息をとってください。必要な休息を自分にあげることは、癒しの過程でとても大切です。
でもこれは余裕のある場合だけです。少しでも危険だと思ったら、無理に感情を出そうとはしないでください。
私のクライアントさんで、感情を感じると震えが出てもっと怖くなる、という方がいました。その方は感じやすい感受性の強い方だったのですが、子供の頃から親の迷惑にならない様にずっと感じない様に自分を抑えてきた人でした。
私はその方には震えを抑えようとすると焦りと恐れが倍増するので、できたらしばらく体の好きな様にさせてあげてみてください、とお伝えしました。必要なだけ震えたらおさまる、と思ったのです。結果はその通りで、しばらく震えていたら落ち着いたそうです。そして、体の震えを止めなくていいと思えたことで、随分気持ちが楽になった様でした。
長らく大量の感情を抑えてきた人などは、急に感情を感じようとするとこの様な体の反応がでたり、パニックになってしまう方もいます。感情を感じると体も反応するので、その症状によってはさらに怖くなってしまう場合もあるでしょう。これを読んで、自分にとって急に感情を感じるのが危険だ、と感じた方やパニック発作などの経験がある方は、一人で取り組まずに専門のカウンセラーと一緒にやるようにしてください。また心療内科に通院している方は、必ず医師の指示に従うようにしてください。治療の過程で感情を感じない様にするケースもあるため、その場合一人で感情を出そうとするのは危険な時があるからです。
さて、過去の傷ついた自分に自分でいたわるやり方をお伝えしました。でも本当はその理解やいたわりは、親にして欲しかったことだったり、友達、学校の先生にして欲しかったことかもしれません。もし今、過去の傷ついた体験のせいで関係が気まずくなっていたり、本当の自分のことを理解してもらいたいほど大事な人なら、自分が傷ついたことを直接本人に言って、理解やいたわりをもらってもいいでしょう。相手が心からのいたわりを示してくれると、とても癒されるはずです。
ただ、わざわざ会いにいくのが大変だったり、疎遠になっている人に今更言っても・・・という場合も多いでしょう。そして相手にとっては「あの時、嫌だった。」などといきなり言われても、動揺して簡単には受け取れないのが普通です。あなたにとっては必要なことでも、それは相手から見たら勝手な理由に見えるかもしれない、ということも知っておいてください。そういう理由から、私はまず自分の傷は自分で癒す、ということをオススメしています。自分が自分を好きになる、という意味でも、結果的にはそれがとても大切なことだからです。
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