さて、ここまで夫に「イラっと」した時、相手にどうやってそれを伝えたらいいのかや、その「イラっと」したことをきっかけに自分を掘り下げ、心の傷を癒す方法をお伝えしてきました。それは決して簡単とはいえない、面倒臭い作業の話だったかもしれません。そんなことをしなくても、いつも笑顔でニコニコ、優しい自分でいられたらどんなにいいかと思うことでしょう。
でも残念ながら、人が「イラっと」しなくなることはないでしょう。なぜなら「イラっと」は自分が大事にしているものに反応して生まれるからです。大事にしていたものが壊されれば「イラっと」するし、大事にしていたものが守れなくても「イラっと」します。だからあなたの心の中に、何かを大事にする思いが有る限り、必ず「イラっと」するのです。
だからこそ、「イラっと」した時にその感情に振り回されずに、原点にある大切なものを見つけ出してもらいたいのです。それは、幼い頃に心を痛めたままの自分だったり、まだみつけてもらえていない才能だったりします。それらを見つけ出し、慈しむことができるようになると、自分の見方が変わってきます。ダメだと思っていた自分は勘違いで、本当の自分は大事なものがたくさんあって、純粋で健気、才能にあふれていたパワフルな子供だったことがわかってくるからです。それがわかればわかるほど、自分のことが好きになっていくでしょう。
そうして自分のことを好きになってくると、相手のことも同じように見えてきます。今までどうしても理解できなかった夫の言動が、夫もまた幼い頃に傷ついた心がまだ傷んだままであることが見えてきたり、その傷から夫の大事なもの、繊細な部分が見えてくるでしょう。あるいは夫の隠れた才能を発掘することになるかもしれません。思わぬ優しさや、たくましさを発見することになるかもしれないのです。
このお互いを見出す作業を二人一緒にできると、二人で癒しの作業を助けあうこともできます。ダメな自分を受け止めて欲しい時や、温もりが欲しい時に、相手の手を借りることもできるのです。そうして夫とは、世界で誰よりもお互いを理解し、尊重しあう関係になることができます。
もし、夫と心から理解し合いたいと思うなら、ぶつかることを恐れずに本音で話してみてください。ゴールを「理解しあうために」と設定しておけば大丈夫、かならず何かが変わるはずです。
このコミュニケーション方法は、夫だけでなく誰でも通用します。子供でも親でも友人でも同じです。親密になりたい、理解し合いたい、と思う人がいたら、取り組んでみる価値はあると思います。ただ夫の場合も同じですが、いくら自分が深いコミュニケーションを望んでいたとしても、相手が同じ深さを望むとはかぎらない、ということも忘れないでください。あなたが深いコミュニケーションを望んだのに相手が望まないからといって、愛されていない、拒絶された、と思わないようにしましょう。そこはまた、相手のスピードや相手のころあいを理解する必要があるのです。自分の望みを理解し、相手の望みも尊重する、そのスタンスでいれば、あなたを大事に思ってくれる人なら遠からず答えてくれるはずです。
「イラっと」はいっけん、人生を蝕む困った感情の様に感じます。でもそれをほりさげたら、あなたの大事なものに出会えるだけです。その大事なものをぜひ旦那さんと共有して、大切にしていってください。そうやって夫婦でお互いに大事なものを共有できるカップルが増えていくことを心から願っています。
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