夫婦の対話

一生懸命話せばわかってもらえる?

先日ある交流会に参加した時のことです。
男性の方から質問を受けました。
 
「今、海外で働いているんですけどその仕事が予定より長引きそうなんです。
僕はその国が大好きなのでもっとその国に居たいしもっと長くてもいいと思うのですが、妻は行きたくなさそうなのです。どうしたらいいですか?」
というものでした。
 
よく聞けば結婚したばかりで奥様にはあと1ヶ月で海外生活がおわると言っていたそうです。
でも彼は自分の情熱がその国で仕事をすることだと感じており、彼自身は海外勤務が長引くのは嬉しい。
そして奥様にも一緒に来て欲しいと思っていると言ってくれました。
しかし奥様は子供が欲しい。日本で出産・子育てしたいと思っていたようで「話が違う。」とすれ違っている、とのことでした。
 
夢を追いたい男性と現実を安心の中で過ごしたい女性。その間でおこるすれ違い・・・珍しくないケースですね。
 
私は彼に、自分の希望をしっかりと伝え、そして「奥様の希望もしっかりと聞くことが大事ですよ。」とお伝えしました。話していると彼が「そしたら奥さんは来てくれますかね?」と聞いてきます。
 
同じような問答が数回続き、それで私は気がつきました。
 
彼の中では「海外についてきてもらう」という結論がすでに決まっていて、それ以外の選択肢はないんだ、ということにです。
 
彼は奥さんについてきてもらうように説得する方法を聞きたがっていたのです。
 
そこで私は「その海外についてきてもらう、という結論をまず手放してください。」とお伝えしたのです。
 
 
 
私にも経験がありますが何かとても大事なことを相談するとき、例えば結婚とか引越し、子供を持つ、親を引き取って介護するとか海外の転勤ももちろんそうです。
 
休日にどこに遊びに行くか、なんて簡単なことではなく、人生の様相が全く変わるような重大な出来事について「自分はどうしてもこうしたい。」という考えがある場合、相手に相談しているつもりで説得していることがあります。
 
しかし相談と説得は似ているようで全然違います。
 
相談には相手側に自分の考えも選択肢に加えてもらう隙間がありますが、説得は隙間がありません。
説得は相談を持ちかけている方が相手の意見も聞いているつもりでも、異なる意見が出た場合にどうにかすり合わせる方法を見つけて自分が決めている結論に導こう、というエネルギーで満ちているからです。
 
例えば今回のケースで言えば
夫は「海外に行きたい、一緒に来て欲しい。」
妻「日本で出産・子育てしたい。」
夫「それはわかるけど二人一緒の方が子供にとっていいよ。安全な環境を探すから。」
 
という具合にです。
(今回相談してくれた方がこう言った、というわけではありませんありがちな例をあげています)
 
どうですか?あなたにも経験はないですか?
 
「大事な相談がある。」と持ちかけて自分が望んでいる方向へ説得に走ってしまう事。
 
以前の私は無意識に、相談しているつもりで説得してしまう事が多かったです。
それが結婚して数年経った頃、夫に「君は僕をコントロールしている!」と激怒された理由です。
 
自分にとっていかにそれが大事か、それがないとどう辛いのか、自分を理解してもらうためにそのことについてしっかりと伝えることはとても大切です。
でもつい、だからわかって欲しい。自分に合わせて欲しい。と説得してしまいがちです。
 
そうすると相手にとっては自由に選択する隙間がなくなります。特に正論で説得されると、例えば、子供には両親がいたほうがいい、的な正論ですがそうすると夫いわく「喉元にナイフを突きつけられているような感覚」
になるのだそうです。
 
自分に自由がない、という意味ですね。
 
相手がその説得で「あなたがそう言うなら。」とあなたに合わせてくれることもあるでしょう。
でも重大な決断ほど説得して相手を同意させた場合は後で遺恨が残ります。
そして何かのきっかけで吹き出すのです。「あなたがそうしたいって言ったからそうしたんでしょ?責任とってよ!」という感じで、です。
 
 
このケースでは後になってから「私は望んでいなかったけど、合わせてあげたんだ。」という相手の犠牲感が浮き彫りになります。そしてそうやって相手に犠牲者になられてしまうと「きちんと相談したじゃないか!それにこちらだって犠牲をしてあげているときはあるんだ!」と平行線の戦いが終わらなくなってしまいます。
 
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対話とは説得ではありません。
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自分の最も大切な事を打ち明けた後、それでも相手に選ぶ自由を残しておく事が大切です。
「海外に行きたい、君がいないと辛い。君はどう感じたの?」
「私は日本で子育てしたい。海外には行きたくない。」
このようにお互いの主張が対立したところから対話が始まるのです。
 
お互いにとってなぜそれが大切なのか、それを掘り下げ打ち明け合う必要があるのです。
そうして大事な事の理由や深さを理解した上で、二人にとって一番ベストな方向性を見出すのが対話です。

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