夫にイラっとした時

【夫にイラっと8】コミュニケーションのポイント 11か条  ①悪い人、間違っている人はいない

コミュニケーションのポイント 11か条

 

ではここから「イラっと」したところから理解しあう関係に進んでいくために大切なコミュニケーションのポイントをお伝えしていきましょう。ポイントといっても絶対に守らなければいけない、というものではありません。ただ知っておいてなるべく気をつける事ができると、会話の質が格段に変わっていきます。たくさんあるので、一つずつ焦らず丁寧に理解していきましょう。

 

⑴悪い人、間違っている人はいない

 

人は「イラッと」したとき、その原因として何かが悪かった、何かが間違っている、あるいは誰かが悪い、間違っている、と思いがちです。「イラッと」する、これはネガティブな感情ですが、ネガティブな感情を感じるからには、何かが悪いに違いない、間違っていることがあるに違いない、と思うのです。

 

夫婦で言えば、自分が夫に「イラっと」した時、「夫が悪い」「夫が間違っている」と思いがちです。あるいは「こんなことでイライラする自分が悪い」「自分の考え方が間違っている」と思うこともあるでしょう。

 

でも、心が動く理由として、「イラッと」する理由として、悪い人がいなければいけないわけでもないし、間違っている人がいなければいけないわけでもありません。というより、実は悪い人も間違っている人もいないのです。

 

「悪い人がいない?」「間違ってる人がいない?」ってどういうこと?と思ったかもしれません。

 

例えばこんなケース。

・食器を洗うと言った夫がなかなか食器を洗わない。

・ゴミを捨てる担当の夫がゴミ捨てを忘れる。

・人が話している時に携帯を見ている。

 

こういう時、相手は悪い人なのでしょうか。間違っている人なのでしょうか。

この上の三つのケースで「イラッと」する人は結構多いと思います。もちろん私もその一人です。そしてつい「あなたが悪い。」というニュアンスで夫を責めてしまいます。

 

でも冷静に考えてみれば、食器を洗わないからといって、ゴミを捨てないからといって、人が話している時に携帯を見ているからといって、夫が悪い人なわけではありません。ただ私のして欲しくないことをしている人なだけです。

 

私たちは自分のしてほしくないことを相手がした時に、それがあたかも悪いことかのように勘違いしてしまうことが多いのです。 こういう言い方をすると「だって相手が約束したのに、約束を守らないのは悪いことだ。」とか「ルールは守るべき。」と思う人がいるかもしれません。もちろん約束やルールを守ることは大切です。でも約束やルールというのは、環境や状況によって変わります。そしてこの環境においてはこうした方がいい、という指針のようなものであって、守れなかったからといってその人の人間的価値が下がるわけではないのです。

 

例えば、あなたが会社に遅刻してしまったとしましょう。その会社のルールでは、 朝9時には出勤していることが決まりとなっています。その日あなたはうっかり電車を乗り過ごしてしまい、始業時間に間に合わなかったのです。会社のルールにのっとり、遅刻したことはとがめられるかもしれません。それは減俸とか、何度も遅刻している場合は左遷とかリストラとか、何らかの処罰があるかもしれません。それは会社のルールにそって考えれば仕方のないことです。でもそのことと、あなたが悪い人かどうかということは全く関係がないのです。勤務態度が悪くてリストラされたとしても、勤務態度というのはその会社の要求に応えられなかったということだけであり、あなたの人間的価値とは全く関係がないのです。つまりルールというのはある一定の環境で物事をスムーズに進めるために必要なものではあるけれども、それが守れないという事が人間の価値とは繋がっていないということなのです。

 

そういう意味で、夫婦の間で絶対のルールというものはありません。夫婦においては、二人で相談しながら二人にとって良いルールを作り上げていくものです。もし一緒に決めたルールが守れないなら、もちろん謝ってもらってもいいでしょう。ただ、「あなたが悪い」と言ってしまったら、こちらにはそんなつもりがなくても相手にとっては人間的な価値として悪いと言われている、と感じやすいということを知っておいてください。「ルールを守って欲しい」と言いたいだけなのに「あなたが悪い」という言葉を使うと「あなたが人間として悪い」というニュアンスになってしまうのです

 

それは自分が悪い、と思ったとしても同じです。「自分が悪い」と思ってしまうと、無意識のうちに自分の価値を下げているのです。ちょっと混乱するかもしれませんが、相手や自分に至らないところがあったとしても、そのことで「悪い」と考えなくていいという事です。

 

もしあなたが夫か自分が悪いと思うことがあるなら、それは一旦手放してみることをお勧めします。なぜなら大切なことは「誰かが悪い」ということではないのです。大切なのは「こういうポイントで私はイラッとする。」ということを相手に知ってもらうことなのです。

 

夫婦の間で大切なことはルールを決めて守ることではなく、お互いのことを理解し合うことです。そして深い理解のもとで尊重し合うことです。「イラッと」したことをきっかけに理解し合うコミュニケーションを始めるには、まず自分がどういうポイントでイラッとするのか、それを自分が知ることが大事なのです。そこに誰が悪いということは必要ありません。私がこう感じる、それを伝えることが大事なのです。

 

・何にイラっとした?

 

夫が食器を洗ってくれなかったとき、「イラッと」したとしましょう。あなたはどういうポイントで「イラッと」したのでしょうか。夫がルールを破ったからですか?それとも、自分が疲れていて食器を洗って欲しかったからでしょうか。

 

何かが起きて「イラッと」したとき、それを伝える時にあなたが悪いというニュアンスで伝えると相手の耳はふさがってしまいます。誰だってお前が悪いと言われて気分がいいはずがありません。

 

でもどうでしょう。同じように自分が「イラッと」したことを伝える時に「これをされると私はイラッとする。」と自分を理解してもらうための言葉だったら、相手が受け取るニュアンスはだいぶ変わってきます。

 

食器を洗わないことに対して「どうして食器を洗わないの!洗うっていうルールでしょ?」と責めるのか、「ルールを破られるとイラッとするの。私はやってもらえるものと思っているから。やれない理由があるなら教えて欲しい。」あるいは「私も疲れてるから食器を洗ってもらえたら嬉しかったんだけど。」と伝えるのとでは、受け取る方がだいぶ感じ方が変わってきますね。

 

同じイラっとしたことを伝えるのでも、相手が悪いというニュアンスで伝えるのと、自分が「イラっと」感じているのを理解してほしい。というニュアンスで伝えるのとでは、その後のコミュニケーションがだいぶ変わってきます。

 

そして、自分が悪いと思ってしまうタイプの方、自分の感じ方を修正しようとしたりイラッとしてしまう自分を責めてしまうことは、結果的にフラストレーションが溜まって後に吹き出すことになります。

 

どんな事柄であろうとも、イラッとしてしまったらそれはそれでオッケーにしましょう。イラッとしてしまった自分が悪いということは決してないのです。ただ自分にとってはそれが嫌だ、ということが明確になるだけなのです。

 

極端な例かもしれませんが例をひとつあげましょう。

例えば小さな子供が、用意された青い服を見て赤い服が良かったと泣いたとしましょう。その子にとっては青い服を着ることがどうしても嫌だったのです。そして赤い服が着たかったのです。

青い服を嫌がったその子は悪い子なのでしょうか。いいえ、違います。青い服が嫌いなのはその子の個性なのです。青い服を好きにならなければならない正当な理由などどこにもありません。嫌いなら嫌いでそれが個性です。青い服が嫌いと感じてしまったことを悪いことだ と思う必要などないのです。もし悪いことだと思わなければならないとしたら、その子の個性や自由はたちどころに失われてしまうでしょう。

 

自分が感じていることの理由に、根拠は必要ありません。正しいか間違っているか考える必要もありません。ただ自分がこういう風に感じる、それを自分で知ることが「自分を知る」ということです。そして夫婦においては、そういう自分を理解してもらう努力をする、そのコミュニケーションが大事なのです。

 

 

つづく

 

 

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